Illustration by 竹藤狐
 ハリネズミの背中から湧き出す、星のような光。点と点が淡い線で繋がって、星座を作っている。
 そのかがやきは、フロッカでは見ることのできない、星の光そのものだった。
「そうか……これが、カイロさんの言ってた……」
 どこか力強くて、でも触ってしまったら、散ってしまいそうなかがやき。クゥはそれ心を奪われていた。
 いつか、星のことを無邪気に語っていたヒトがいる。クゥは夢心地のような意識の中で、それを思い出していた。
 
 ―――
 
 あれは、カイロさんたちが集落にやって来て、少しした頃だった。
 
 一人で滝の広場に行って、ピッコロを演奏する。それが、ぼくの日課だった。ここがおばけにとってのお気に入りの場所だし、何よりここなら、おばけと話もできる。
 高いとこから湖を見下ろせる場所で演奏することもあるけど、今日は湖のすぐそば。ここなら滝からも離れるから、自分の笛の音色がしっかり聴き取れる。
「今日の演奏……どうだった?」
 ちゃぷちゃぷ。座りながら足で水を蹴り上げながら、おばけに言った。
 おばけはふよふよとゆれながら、にっこり笑ってる。何も言わないけど、楽しいって気持ちが、伝わってくる。
「ふふ、ありがと」
 誰にも話せない、僕だけの友達。でもこの子と一緒に話せるのは、僕が一人でいるときだけ。
 最初は、兄ちゃんにだけなら、言おうと思ってた。でも……信じてもらえなくって、もしかしたら、へんな目で見られちゃうかもしれない。
 そう思うと、話すのが怖かった。
「でも、大丈夫……ぼくはずっと、友達だから」
 ぼくは空を見上げた。高い崖に囲まれて、ずっとずっと遠くにある、小さな空。もう暗くなっていて、小さな点みたいな星が、ぽつぽつとついている。
 そろそろ帰らないと、兄ちゃん、心配するかも。
「でも、もうちょっとくらい……大丈夫かな?」
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