フロッカ峡谷とひみつの集落
カルカルとトリキリデの間に存在する、巨大な峡谷。
 空は遮られて方角も分からず、分かれ道が無数に存在する。まさに天然の巨大迷路。
 峡谷には正しいルートを示す"道しるべ"が立てられいるが、一日かけて遠回りするルートもあるため、この峡谷を通る者はあまりいない。
 
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 足を踏み入れる者が少ないので、奥地には誰にも知られていないひみつの集落が存在する。
 大昔、盗賊たちが隠れ家として使っていた場所で、そのまま集落として形成されていった。しかし今ではもう盗賊という生業をする者もおらず、住んでいるヒトたちは普通の暮らしをしている。
 集落は二つの円状の空間がくっついた、ひょうたんのような形になっている。崖は階段上になっていて、住民たちの住居となるほら穴へと続く入口が、無数に存在する。
 集落の入り口はたった一つ。フロッカ峡谷を抜ける正しいルートからも大きく離れていて、ここを見つけるのは困難である。
 フロッカ峡谷には、特別な葉を生やす樹が生えている。集落には特にそれが沢山生えていて、空を覆っている。
 この葉は透明で、まるで宝石のように輝いている。フロッカ峡谷にはほとんど日は差し込まないが、この葉が常に集落を幻想的な輝きで包み込んでいる。
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