
Illustration by たけふじ狐
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やがて平地だった街道は、崖へと入っていく。
右手には高くそびえる崖、左手には遥か下で川が流れている。
「静かだね……」
時々崖をなでるような向かい風が、ポメたちの横を通り過ぎていく。なんだかとても、自分たちがちっぽけな存在に思えてきた。
「フロッカの時みたいに、回り道もないんだな」
デデが崖を見下ろしながら言った。激しく流れる川の流れが、かすかに聞こえてくる。
「ま、ここは一本道だから大丈夫よ。フロッカみたいに、迷うことはないわ」
どしっと構えながら、ロココは言った。
「そういうことじゃ、ないんじゃないか? もし、オロオロさまが来たら……」
ジェコはそこまで言って、口を閉じた。
みんな、耳をぴくぴくさせている。しっぽの動きも、おだやかじゃなかった。
でもそれは、ジェコが言う前からこの雰囲気だった。みんな、オロオロさまのことは忘れていない。
「昼間でも、フロッカみたいに暗いとこなら、出てくるもんね……」
この道は丁度、崖が日を遮っている。闇に紛れて、ヒトを襲って捕まえにくるオロオロさまが現れるには、十分なスポットだ。
「とにかく、日なたになるとこまで早く行かないとな」
先頭を切るデデが、ぱちんと手綱を打った。マイマイは相変わらず、マイペースに進んでいる。