Illustration by 竹藤狐
 「アーネスさん、どうしたの……」
 ポメの背筋にぞっと、背筋に冷たいものが走った。
「いやぁ、俺様もきつく言い過ぎたと、思ってさ」
 ポメが後ろに一歩下がると、アーネスはずいっと、二歩前に出てきた。
「でもこんなとこまで来たのも、母さんを探すためなんだろ? 君の熱意に、心打たれたのさ」
「で、でも……」
 それにしたって、怪しい。さっきまで、あんなに牙を剥き出しにしていた顔とは、大違いなんだから。
「えっとさ……それじゃあ、僕だけじゃなくて、他の……一緒に来た友達も、呼んでこないと」
 とにかくここは、どうにか言って逃げよう。ポメはそう言って、振り返って走り出そうとした。
 がしっ。アーネスの大きな手が、ポメの腕を掴んだ。
「俺様とお前、二人で十分さ。時間がないんだ、さっさと行こうぜ?」
 時間がないって? そう言おうとしたけど、アーネスは腕を引っ張って急ぎ足で歩き始めた。
「や、やめてよ……どこへ連れてくのさ!」
 振り払おうとしても、ポメの力じゃあ大人の力には敵わなかった。
 アーネスは建物の合間を縫うように、進んでいく。丁度、人気の少ない道を進んでいるみたいだ。進む先は、どうやら町の外側だった。
『どうしよう、どうしよう。大声を出す? でもアーネスさんが怒ったら……』
 色んな考えが、頭をよぎっては通り過ぎていく。何をやっても、うまくいかないような気がした。
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