Illustration by 竹藤狐
 「お、お前……アルメリシアに、住んでるんじゃないのか?」
 アーネスは目を丸くして、そう言った。
 ポメは、アーネスのことをよく知っていた。そしてアーネスも、同じルーチ・タクトのメンバーであるお母さんとの繋がりで、知っていたのだった。
「えっと、それを説明すると長くなるんだよね……」
 ポメはポリポリと頬をかいていた。ここまでの旅のいきさつ、話すことは簡単だ。
 だけど、なんのための旅か……色々とややこしいことがいっぱいで、どう説明すればいいか、ポメも悩んでいた。
 そんな時、遠くから声が聞こえてきた。自分を呼ぶ、大きな声。デデだ。ポメは振り返って、建物から顔を出そうとする。
「デデ、こっちだ――」
 声を出そうとした瞬間、アーネスに口を押さえられた。ぐいっと一歩だけ、後ろに引っ張られる。デデは気づかないで、ポメたちのいた建物を通りすぎていった。
「ありゃあ、お前の友達か?」
 ポメはこくこくと小さく頷く。アーネスが口を離すと、ポメは不思議そうな顔をしながら、一歩下がった。
「どうして、そんなコソコソしなきゃいけないの……?」
「いや、その……一般人に見つかると、ヤバいんだよ。今はな」
 フードを深くかぶり直して、アーネスはきょろきょろと辺りを見回した。幸い、誰にも見られていない。でも見ていない、ふりをされているだけかもしれない。
「……もっと落ち着けるとこに、行った方がいいな」
 アーネスはひとり言のようにつぶやいて、早足で歩き出した。
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