Illustration by こなみこはね
 ジェコとロココは、町の入口近くに戻るため、元来た道を歩いていった。
「入口の方はなんか、町のヒトより、旅のヒトの方が多い気がしないか?」
 何の店なのかを表す、看板を掲げたいくつものひょうたんの家。そのすき間で、テントを張って露店を開いているヒトもいた。
 売っているものや身なりからして、露店を開くヒトたちはみんな、旅のヒトのようであった。
「こんなご時世だしねぇ……ここなら、旅のヒトたちもひとまず安心だって、思ってるんじゃないかしら?」
「どういう意味だい?」
 ジェコの言葉には耳をむけず、ロココは露店を覗いてみた。
「ねぇねぇ、結構安いわよ! 昼ごはんこれで作ったらどう?」
「え~、せっかくトリキリデに来たんだぜ。この町のもんが食べたいよ」
「まったく……変に期待したって、ガッカリするだけよ」
 ぷいっとしっぽを振って、ロココは歩いていってしまった。
 ジェコはロココの後ろ姿を眺めていた。いつもは歩くときの動きも大きなはずのロココも、今日はしっぽが妙にそわそわしていた。
「へへ。なんか周り気にしてるけど、この町でなんか悪さでもしたのか?」
「あんたねー……口は災いの元って言葉、知らないワケ?」
 ロココは振り返らずに、そう言った。顔こそ見えないものの、そのちいさな背中から発せられるオーラが、どれほど鬼のような形相をしているのか、まるで物語っているようだった。
「…………」
 ジェコは、大きな口をぐっと閉じた。
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