Illustration by 竹藤狐
 真っ暗闇な階段を、ツェンは下りていく。足の先を伸ばし、一歩一歩、踏み外さないように。
「どこまで続いているんだろう」
 じっと目を凝らしてみる。奥の方が、うすぼんやりと淡い光が漏れている。
 タンタン。ツェンの足も自然と速くなる。階段を下りて、ツェンは上に目をやった。
「じいちゃんの屋敷の地下に、こんなのがあったなんて……」
 ドームの壁に描かれた、点々と輝く星々を結んでできた、いくつもの星座。ツェンにとっては初めて知るものだけども、そのいくつもの星座に目を奪われていた。ドームに目をやりながら歩いていると、こつん。足の先に何かがぶつかった。
「う、う~ん……」
 下を見ると、そこにはゴザが倒れていた。ツェンはすぐさまゴザの体をゆする。ゴザはゆっくりと目を覚ますと、頭を押さえながら体を起こした。
「お、おい大丈夫か?」
「つ、ツェンくんですかぁ。一体、私の身になにがあったんでしょう……」
「それは……いや、それはともかく。この部屋って、一体なんなのさ」
 ゴザはドームを見上げた。ツェンや、集落のヒトたちは殆ど知らない、星座を映した部屋。それを見て、ゴザは小さくため息をついた。
「とうとう、ツェンくんにバレちゃいましたね……ここはカイロさんが作った、星空を再現した部屋ですよ」
「星空……」
 ツェンはつぶやくように言った。フロッカの空は、峡谷にはさまれて、ほとんど見えない。ましてや、クゥのように星空の話を聞かされたことも、なかった。
「こんな感じ、なんだ……」
 そんなツェンにとって、こんなにも目を奪われる光景が、崖の向こうに広がっていたなんて、これを見て初めて知ることになった。
「集落のヒトたちに手伝ってもらって、ここまで作ったんですよ。でも、カイロさんは未完成だって言って、誰にも見せなかったんですよねぇ……」
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