Illustration by 竹藤狐
 ツェンはデデに、本当のことを話すことにした。この集落で流行っている、気力をなくしてしまう病気のこと。そしてそのことを、ずっと黙っていたことを。
「本当に、ごめん! このことを話したら、みんな……ここから出ていっちゃうんじゃないかと思って……」
 デデはまるで、ぽかんと口を開けていた。いきなり集落の病気の話なんて、やってくるとは思うはずもなかったのだから。
 でも切羽詰まって話すツェンを見て、とても大事なことだと言うのは伝わった。
「なんで、今その話をしたんだよ」
「この病気に最初に掛かったの……実は、オレたちの父さん母さんだったんだ」
 ツェンは滝の方を向いた。見下ろすと、光る落ち葉がくしゃっと踏みつぶされている、二人分の足あとが残っている。
「その日、オレたちは用事があって父さん母さんの家に行ったんだ。朝早くに行けば、いつもならいるはず。でも、その日はいなかった。すぐ帰ってくると思ってオレたちは待ってたんだけど、昼すぎにゴザが……」
「さっきすれ違った、うすぎたない医者だな」
 名前を聞くと、デデの頭にはあの顔がちらつき出した。あの開いてるんだか閉じてるんだか分からない、細くつり上がった目。あのいや~な感じの目が、頭から離れなかった。
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