Illustration by 竹藤狐
 やってきたのは、ツェンたちの家だ。中に入ると、真っ暗で何も見えない。ツェンが笛を吹くと、天井からぼうっと明かりが灯り始めた。
「へぇ~、いい感じの部屋だね」
 大きな棚に、みんなで囲うには十分なテーブル。カイロの作った食器もあったりして、この集落の雰囲気が漂っていた。
「おっ大きなキッチンまであるなぁ!」
 ジェコが腕をまくってキッチンへと入っていく。カンカンと、たのしげなリズムで自分のフライパンを叩いていた。
「ツェンくん、よかったらオイラが美味しいもん作ってやろうか?」
「へへ、実は料理あんま上手くないからさ……助かるよ」
 ツェンとクゥは部屋を片付けていった。といっても、テーブルの上にあったものを棚に詰め込んでるだけだけども。それでもものがなくなると、テーブルはなんだかいっそう広く見えた。
 みんながイスに座って、飲み水も用意される頃には、料理も大分進んでいる。キッチンでは、ジェコの鼻歌と共に食欲をそそる香ばしい匂いが漂ってきた。
「そういえばさ……」
 ツェンはコップに少しだけ口をつけてから、そう言った。
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