
Illustration by 竹藤狐
―それは、数時間前にさかのぼる―
日が昇り、ケラケラは朝を迎えていく。町のヒトたちは起き出して、店々の準備を始めていくので、だんだんと賑やかになっていった。
だけどもそんな中で、デデとジェコは浮かれない顔をしていた。
「くそぉ、まいったな……」
「まさか町に着いたのが……オイラたちだけだったなんて」
二人の目線の先は、ケラケラの門を抜けて、どこまでも続く平野の向こうだった。そこにはきっと、はぐれてしまったポメたちがいるはずである。
だけども、待てども、朝焼けに染まっていく平野の向こうから、誰かが来る気配もない。
「もうあの黒いヤツらはいないはずだろ? 探しに戻ろうぜ!」声を荒げながら、デデは抑えきれないいらだちで足をダンダンと強く踏みつけていた。
「で、でもあんな大きな平野なんだ。やみくもに探したって、入れ違いになるかも……」
町の外には、アルメリシアに続く一本の街道がある。もしここを通っていてくれれば、簡単に見つけられるだろうけど……その保証はなかった。
ここへ来るのだって、どんな道を通ってきたのか分からないのだ。ポメたちがどの方角から来るのかも、全く想像がつかない。
「どうしたら、いいんだよ……」
ダンダンと叩く足は、早く、強くなっていった。
「うーん、どうすりゃいいかな……」
ジェコにとってデデとはまだほんの少ししか一緒に旅をしていない。だけどもジェコには分かる。こういう時、へんに優しい言葉をかければ、八つ当たりされるだろうということを。
『まずは気持ちを落ち着かせてやらないとな』だけどもどうすれば……