Illustration by 竹藤狐
 
「僕のことを、呼んだの?」
 ポメは男に近づいていった。だけども近づけば近づくほど、なんだか得体のしれない気味の悪さを覚えた。ちらりと後ろを振り向いて、ポメは少し離れたところで足を止めた。
 よく見るとその男は、少し若い感じがする。ジェコよりほんの少し年上くらいか。だけども全身からにじみ出る雰囲気はとても、ジェコくらいの年頃と同じとは、思えなかった。
 男は持っていたコップをくいと一口飲んで、小さく笑みを浮かべる。
「君は、ポメくんだろ?」
 男の言葉を聞いて、ポメはぞくっとした。誰かも知らないようなヒトが、自分の名前を知っているんだもの。
 こういう時、学校でもよく言われたことがある。知らない人が名前を知っているということは、とても危険なことだって。
「こいつ、かなりヤバくないカ?」
 耳元でそっと、フォルは呟いた。ポメも静かにうなずいて、一歩、一歩と後ずさりをした。
「クックック……悪い悪い、そんなに怖かったか?」
 男は肩を揺らして笑うと、その不気味に輝く金色の目が、ゆらゆらと揺れる。ポメはいよいよ、ぐぐっと地面を強く踏みしめた。もし変な動きをしたら、すぐに逃げられるように。
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